家から ECC で印刷する &
PostScript ファイルを Windows で作る

この文書は、 という人のためのものです。 主に Windows 95/98 ユーザーを対象に、 家から ECC で印刷する仕組み、プリンタドライバの選び方、 うまい設定の方法、などを御紹介します。

自分のノートを直接つながないように!

ECC のプリンタの背面には、よく見ると、普通のプリンタと同じパラレルポートとおぼしきコネクタがついています。 しかし、これは使えないので、

  1. 自宅で、印刷用データを作成する
  2. フロッピーなどの形で ECC に持ち込む
  3. ECC のマシンから、プリンタに送り込む
という手順を踏まなければなりません。

PostScript 生成器としても使えます

また、ECC のプリンタは「PostScript 互換」と呼ばれるプリンタですから、ここで説明する方法を使って、 PostScript という形式のデータを作ることができます。 この PostScript 形式のデータは、 UNIX 界では印刷用データの受け渡しの標準形式として認められていますし、 また、DTP(desktop publishing)を扱っている印刷所の中には PostScript 形式のデータを受け付けてくれるところがあります。

こういう場合に使いましょう

ここで御紹介する方法は、
ECC マシンに入っているソフトで問題なく読めるデータを、 ECC のプリンタで
印刷する場合には向きません。たとえば MS Word の文書ファイルならば、 フォントなどの特殊事情がない限り、 わざわざここで紹介する方法で印刷するよりも、 Word 文書のままで ECC に持ち込んで印刷するほうが簡単です。

逆に言うと、次のような場合に有用でしょう。

  1. ECC では読めないデータ形式の場合、また、 ECC には入っていないソフトでの出力がほしい場合。
    たとえば、Word の文章に「花子」の図表を貼り込んでいる場合、張り込みの方法によっては印刷時に「花子」が必要になりますが、 ECC には「花子」は入っていません。あるいは、Netscape Navigator ではきちんと表示・印刷できない WWW ページを Internet Explorer で印刷したい場合もあるでしょう。 (実は、相談員 Web のページも、綺麗に印刷するには IE が必要だったりします。)

  2. ECC に入っていないフォントを使いたい場合。
    たとえば、市販のフォント集に含まれている英文飾り文字フォントを使いたい場合や、 中国語・韓国語の入った文章を書きたい場合がそれにあたります。

  3. PostScript データとして、 ECC 以外の場所に再配布する場合
    UNIX 環境を使っている人には、Windows+Word を持っていない人がたくさんいます。また、Word を持っていても極力使いたくない、という人もいます。 こういった環境に渡すときには、UNIX では標準的な PostScript 形式にするのが有用です。

相談員とは関係ありません!

飯嶋は ECC で相談員をしておりますが、この文章は、 いまのところ、相談員が業務としてサポートしているものではありません。 飯嶋以外の相談員に質問することは巌に謹んでください。

また、飯嶋も、メールでのサポートは基本的に行っておりません。 この文章は、下の説明を読んだだけで内容がつかめる人が読者対象です。 ご了承ください。 (ただし、間違い等があった場合は、 メールでご指摘いただけるとうれしいです。)


原理

Windows には、「プリンタに送られるべきデータを、 プリンタに送る代わりにファイルに保存する」という機能があります。

プリンタを持っている人は、印刷のダイアログで「ファイルへ出力」

画面写真

をチェックして印刷ボタンを押してみて、 作られた .prn ファイルを、MS-DOS プロンプトから
copy /b xxx.prn prn
でプリンタに送り込んでみると、 普通に印刷したのと同じ内容がプリンタから出てきます。

ということは、こうやって作ったファイルを ECC に持っていって ECC のプリンタに送り込んでやれば、 家で作ったデータを ECC のプリンタで印刷できることになります。

とはいえ、この .prn 形式データは 「それぞれのプリンタにわかる言葉」で書かれています。 つまり、プリンタの機種ごとに、内容が違っているのです。 そこで、ECC のプリンタと互換性のあるプリンタドライバをインストールする必要があります。


プリンタドライバの選択

では、どのプリンタドライバを入れるべきでしょうか。

ECC で使われているプリンタは、リコーの IPSiO NX700 という機種ですが、 これ用のドライバはおすすめできません。 そもそも、Windows 98 に入っているプリンタドライバの中には、この NX700 に対応したものは見あたりません(手元の富士通 FMV Biblo NE926 で確認)。

たしかに、最新のコンピュータなら入っているかもしれませんし、 リコーの WWW ページから入手することも可能です。しかし、それをするよりは、 下で述べるように、別機種のドライバを入れる方が得策です。

PostScript プリンタを選ぶ

さて、IPSiO シリーズは、「PostScript の上位互換」 ということになっています。ということは、 他の PostScript プリンタのドライバを入れても大丈夫ということになります。

とはいえ、数ある PostScript プリンタの中で、 どれを選んでも同じということではありません。 PostScript プリンタにもいろいろなものがありますので、ECC の IPSiO NX700 と相性がよいものを選ぶ必要があります。

あるいは、そもそも ECC で印刷するのではなく配布用の PostScript データを作るのが目的の場合は、できるだけ標準的な PostScript プリンタに近いものを選ぶべきです。

というわけで、この両者を考慮した上での私のおすすめは

EPSON LP-9000PS2 2F
ECC で印刷する場合に。あるいは、 PostScript データを作る場合で、白黒でよい場合に。

Canon LBP-2030PS
カラーの PostScript データを作りたい場合で、 A4 サイズまででよい場合に。

です。この機種を選んだ理由、 また IPSiO のドライバを推奨しない理由の詳細は、 ここに書くと長くなりますので、 別ページを参照してください。


インストールと設定 - Windows の場合

インストール時のポイント

プリンタドライバのインストールの方法は、 基本的にはここで説明するまでもないでしょう。 (というより、これがわからない人には、 この文書に書いてある内容を実践してほしくありません。)

ただし、いくつかポイントがあります。

設定 - ここが重要です

PostScript プリンタのドライバを追加したら、 その後に必ずしなければならない重要な設定があります。

[フォント代替の設定]

まず設定しなければならないのが、フォントの設定です。

プリンタの中には、予めいくつかのフォントが内蔵されています。 そのフォントを使うときには、プリンタに送るデータは 「○○という文字列を、××というフォントの△ポイントで印刷せよ」 という短いもので済みます。一方で、プリンタにないフォントを使うときは、 文字の形をプリンタに教えてやらなければならないので、 データが非常に大きくなります。

そこで、

という設定をしてやります。

画面写真

ここで、「フォントにより、TrueType フォントをプリンタに送信する」 にチェックを入れ、 「テーブルの編集」で次のように指定するといいでしょう。

TrueType フォント 使用するプリンタフォント
@MS 明朝@リュウミンL-KL
@MS ゴシック@中ゴシックBBB
ArialHelvetica
Courier NewCourier
SymbolSymbol
Times New RomanTimes
MS 明朝リュウミンKL-L
MS ゴシック中ゴシックBBB
以上のもの以外すべて送信形式アウトライン

場合によっては、不適切な設定が行われている場合があります。 たとえば、Canon LBP-2030PS のデフォルトでは、 MS UI Gothic という和文フォントが、 Times という欧文フォントに置き換えられるという設定になっています。 これではきちんと印刷されないので、 その設定は解除するようにしてください。

また、「Prop」という名前の付いた和文フォントもありますが、 これは使えないので設定しないようにしてください。

[フォントの送信方法]

上記の「フォント」タブの下のほうに、「フォントの送信方法」 というボタンがあります。 これは、上記で代替設定をしなかったフォントについての設定です。 ついでですから、そちらも設定しましょう。

画面写真

「TrueType フォントの送信方法」は 「アウトライン」でいいでしょう。 新しいプリンタドライバでは、TrueType と相性のいい(というか、 TrueType の規格を PostScript にそのままとり入れた) Type42 が使える場合がありますが、 これは古いプリンタでは対応していないので、ここでは避けましょう。

「ビットマップとアウトラインフォントを切り替えるしきい値」は、デフォルトでは 100 ですが、データ量が増えるのを覚悟で 30〜40 程度にまで下げてやるのが私のお薦めです。というのは、 通常使う 10 ポイント前後の文字が、プリンタの解像度にもよりますが 40〜80 ドット(ピクセル)になるのですが、 このサイズの文字をビットマップで印刷してしまうと、 解像度があわないプリンタで綺麗に印刷されない(詳細は、 解像度についての別ページを参照してください)ので、 データ量が増えてもいい場合はできるだけ小さくするといいでしょう。 もっとも、16 以下にするのはおすすめできません。 16 ドット以下の場合は、フォントによっては、 小さいサイズ用に綺麗なビットマップデータをもっているので、 そちらを使うほうが得策です。

[用紙の余白]

つぎに設定するのは、「用紙の四隅の最小余白」です。 これは用紙のサイズごとに設定することができますので、 よく使うサイズについては設定しておくといいでしょう。

画面写真

LP-9000PS2 のデフォルトでは、余白はたったの 1.4mm〜3mm しか空けなくてよいという設定になっています。ところが、 ECC の IPSiO NX700 では端の約 4mm は印刷できません。 通常のワープロソフトなどはそれよりたくさんの余白をとってくれますが、 Internet Explorer、Netscape Navigator だけは、 ヘッダ・フッタを印刷するときに余白ぎりぎりまで使おうとするので、デフォルト設定のままでは、 ECC のプリンタで印刷したときには端が切れてしまいます。

また、配布用の PostScript データにするときには、 もっと余白部分の大きいプリンタでの印刷も考慮して、 左右は 5mm 以上、上下は 15mm 以上 とするほうが無難かもしれません。

[解像度]

ECC のプリンタの解像度は 600dpi です。そこで、ECC にあわせて、 こちらでも 600dpi にしましょう。

画面写真

LBP-2030PS では 600 しか選べません。 LP-9000PS2 では、「ファイン」が 600dpi、「クイック」がその半分の 300dpi という意味になっています。 品質よりもデータのコンパクトさや印刷速度を重視する場合は、 「クイック」にしてもいいでしょう。

なお、今回入れたドライバでは関係ありませんが、 600 の約数でない解像度を指定してはいけません。 グラフィックが綺麗に印刷されない原因になります。詳しくは別ページを参照してください。

[その他の設定]

最後に、細かなところですが「PostScript」タブで設定を行います。

画面写真

Windows 98 の場合や、新しい PostScript プリンタドライバを入れた場合は 「アーカイブ形式」にします。この「アーカイブ形式」というのは、 各プリンタに固有の機能をできるだけ使わないようにして、 どのプリンタに持っていっても問題が少なくなるようにする、 ということだそうです。 Windows 95 の標準ドライバの場合は「印刷が速くなるように最適化」 にしておいて通常は大丈夫でしょう。

なお、「印刷が速くなるように最適化」「アーカイブ形式」 で問題が起こる場合は、「エラーが軽減するように最適化(ADSC)」 にしてみましょう。


Windows で印刷する

フォント選択に注意 MS-P 不可

普通にプリンタを選んで印刷すればよい

ファイル名は .prn にせよと言われるが .ps でよい


できあがったデータを再利用する

ECC に持ち込む

FD か何かで持ち込む

UNIX 環境から lpr -PprXXX xxx.ps

その他の環境で読む

ghostscript で確認する→角藤版

Illustrator などがあればそれを使ってもよい


Copyright © IIJIMA Hiromitsu aka Delmonta, 2016/03/10 15:09 JST
これは「古文書」です。 古くなった情報も原則未修正で保存していますのでご注意ください。

古文書本館トップ | 電脳外道学会