ECC で使っているプリンタはリコーの IPSiO NX700 ですが、 NX700 の Windows 用ドライバは、標準的な PostScript プリンタドライバとはまったく別に開発されています。
私は「このドライバは、PostScript の規格にないメーカー独自拡張の機能を使っている可能性が高い」と判断し (真偽のほどは確認していませんが)、避けることにしました。
そのほかにも、
ECC の IPSiO NX700 の解像度は 600dpi(dpi=dots per inch) です。これを図に示すと、次のようになります。
このように、1/600 インチ(42μm)四方の正方形が、 ECC のプリンタで印刷できる最小単位になります。
ところで、このプリンタに、たとえば 360dpi の画像を入れてみると、次のようになります。
このデータでは、黒で示したところだけではなく、 灰色で示したところも塗りつぶされることになるので、 もとのデータでは均一だったはずの線の太さが不均一になってしまいます。
このような問題は、600dpi か、その半分の 300dpi 用のデータを使えば起こらないので、「なるべく 600dpi、 それが無理なら 300dpi」という条件を設けました。
通常、日本語 PostScript プリンタでは、日本語フォントとして
このような、平成書体の入ったプリンタ用のドライバで PostScript データを作ると、「平成明朝体で」という指定の入ったデータができあがりますので、 平成書体を持っているプリンタ以外では印刷できません。 しかし、逆に、平成書体の入っているプリンタは、リュウミン・ 中ゴシックが標準であることにかんがみ、「リュウミン」 という指定のデータを受け取った場合は自動的に平成明朝体に読み替えて印刷されるので、問題は起こりません。
というわけで、PostScript データを作るときは「リュウミン」 「中ゴシック」という指定にするのが無難だろうと考え、 上記のような条件をつけました。
通常、Windows の PostScript プリンタドライバで作られる印刷データには、フォント名が「Ryumin-Light-RKSJ-H」 といった形式で指定されていますが、比較的新しいプリンタでは、 「Ryumin-Light-90ms-RKSJ-H」という指定ができるものがあります。 これは、JIS X0208-1990 で追加された文字などが使えるというもので、Windows では、90ms の使える機種では 90ms を使おうとします。
最近のプリンタならば 90ms に対応していますが、 古いプリンタや、Ghostscript(5.03 以下)などでは対応していないので、90ms を使わないようにするほうが無難だと判断しました。
ECC で印刷するだけならば A4 白黒でいいのですが、 配布用の PostScript データを作る場合は A3 対応・ カラー対応のほうがあとあと便利だろうと考え、 この条件をつけました。
以上の条件に照らして、Windows 98 に入っているすべての PostScript プリンタドライバを調べてみました。その結果、残念ながら、 上の条件をすべて満たすものは見つかりませんでした。
しかし、「600dpi」「A3」「カラー」のうちどれかひとつの条件をはずしたものならばいくつか見つかりました。
ところが、NX700 のドライバを入れた場合には、この機能がありません。 これは、通常の PostScript プリンタの場合は、 Adobe(PostScript の開発元)と Microsoft(Windows の開発元) が開発した標準ドライバに各社別の設定ファイルを組み合わせているので、 どの機種でも使用可能なのに対し、 NX700 ではまったくの独自ドライバを使っているため、 そのような機能がついていないからです。