量子論試験問題
平成 10 年 7 月、教官名:米谷 民明、試験時間:90 分、
答案用紙:両面 1 枚、計算用紙 1 枚
注:
試験中の質問は問題用紙の印刷が不鮮明である場合に限る。
問題の内容に関する質問は一切受け付けない。
もし内容について疑義があるときは、自分の解釈も含めて解答すること。
問 1.
黒体輻射や電磁波のエネルギーに関連した以下の問いに答えよ。
- アインシュタインの光量子仮説に従うと、振動数が ν
の電磁波のエネルギーの単位は有限の大きさを持ったつぶつぶであり、その大きさは
1 個の光量子のエネルギーに対応する hν である。
もし、原子の典型的な大きさとほぼ同じ程度の波長の電磁波を考えたとすると、この電磁波に対応する1 個の光量子のエネルギーの大きさはどのくらいであるか数字で答えよ。ただし、
プランク定数 h の値を h = 6.6×10-34
[J・s] として考えよ。
- 壁を一定温度に保った真空の空洞中の単位体積当たりの電磁波のエネルギー(エネルギー密度)を古典論にしたがって計算すると、
無限大になってしまうことを学んだ。
その原因は何か、できるだけ具体的に述べよ。
- プランクは、空洞中の与えられた振動数の電磁波のエネルギー密度に関するウイ─ンの実験公式と古典論の式とをうまく内挿する公式、
つまりプランクの公式を発見した。この公式は温度が高いとき
(あるいは振動数が小さいとき)と、低いとき
(あるいは振動数が高いとき)にどのような振る舞いをするか、
式を書いて説明せよ。
- プランクの式を用いて説明ができる、
熱輻射についてよく知られた性質を一つあげて、
それがプランクの式のどういう特徴から説明できるか述べよ。
問 2.
1 個の粒子(質量 m)の量子論における性質(1 次元)について、
以下の問いに答えよ。
- ポテンシャルエネルギーが V (x)
のときのシュレーディンガ─方程式を書け。
- 粒子のエネルギーの値が E
に定まった状態に対応するシュレーディンガ─の波動関数は、必ず
ψ (x, t) =
e-iEt/(h/2π)
ψ (x)
の形に書ける。
このことをシュレーディンガ─方程式に基づいて説明せよ。
- この粒子が、原点からフックの力 F = -kx
を受けて運動しているとしよう。このとき、
時間に依存しない波動関数 ψ (x)
が原点から十分離れた位置 x → +∞ で示す関数形を与えよ。
- もし、粒子がフックの力の代わりに、位置に依存せず一定の向き
(x 軸負の方向)と強さの力 F = -f(< 0)
を受けているとしたとき、波動関数 ψ (x)
が原点から十分離れた位置 x → +∞ で示す振る舞い
は、フックの力の場合に比べてどう変わるか考察せよ。
問 3.
量子論を学んで一番おもしろかったこと、または印象に残ったことを 5〜6
行程度の文(必要に応じて式を交えること)により説明せよ。
また、自分にとって難しかったところはどういうところだったかも
2〜3 行で述べよ。
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