相対論 試験問題

1998 年 2 月 6 日 担当 風間
90 分  問題用紙一枚
解答用紙 両面一枚  計算用紙一枚

第 1 問

マイケルソン-モーリーの実験の概念図を描き、 何をどのようにして測定しようとしたのか、 結果はどうであり何を示唆したのか、簡単に説明せよ。

第 2 問

静止質量 m を持つ二つの中性子が x 軸上をそれぞれ速度 V、及び -V で接近している。 片方の中性子の静止系から見たもう一方の中性子の (a) 速度 β' 及び (b) 全エネルギー E' を、 mc、及び β(= V/c) を用いて表せ。

第 3 問

  1. 反変ベクトル Aν を座標 xμで微分した ∂μAν なる量が、 一階共変一階反変の二階のテンソルとして振る舞うことを示せ。
  2. 二階の反変対称テンソル Aμνローレンツ変換してもやはり対称テンソルにとどまることを示せ。

第 4 問

  1. 質量 m を持つ粒子に対して力 F が働いている場合の相対論的に共変な運動方程式の形を書き、 その各成分の意味を説明せよ。
  2. 原点に静止している質量 m、 電荷 e を持つ粒子に、時刻 t=0 で y 軸方向に一様な電場 E = (0, E, 0) をかけた。 相対論に基づいて時刻 t における粒子の速度を求め、これをグラフで示し、 その特徴をニュートン力学の場合と比較しながら説明せよ。
  3. 今度は、時刻 t=0 で前問の荷電粒子に x 方向の初速度 v0 = (V, 0, 0) を与えた状態で、y 軸方向に一様な電場 E = (0, E, 0) をかけた。このとき、ニュートン力学とは異なり、 時間が経つにつれて x 方向の速度の成分 vx が減少していく現象が見られるが、 その理由を簡単に述べよ。
  4. 問 c の状況に対して、実際に運動方程式を解いて、 時刻 t における速度の成分 vx 及び vy を求めよ。

第 5 問

反電子ニュートリノ νe* (編注: 原文では * のかわりに ν の文字の上に線が引いてあります。) は、質量及び電荷が共にゼロの奇妙な粒子であるが、 その存在は νe*-ビームを静止している陽子 p にぶつけたときに起こる下図のような反応 νe* + p → e+ + n で生ずる陽電子 e+ を観測することによって明らかになった。(n は中性子を表す。)
		               e+
		              /
		_            /)θ
		νe ------→ p -  -  -  -  -  -
		             \
		               n
  1. p, e+, n の質量はそれぞれ、 mp = 938.3MeV/c2me = 0.5MeV/c2mn = 939.6MeV/c2 である。上記の反応が起こるために必要な νe* の最低エネルギーはいくらか。
  2. νe* のエネルギーが mec2 よりうんと大きい場合(例えば 1000 MeV)、 陽電子の持つ相対論的運動量 pe の大きさが非常によい近似で
    pe = pνmpc / (pν(1 - cosθ) + mpc)
    で与えられることを示せ。ここで pν は νe* の運動量の大きさである。 (ヒント: コンプトン散乱との類似に着目せよ。)

第 6 問(最高 5 点を加算する)

講義で最も興味深く感じた事柄をその理由と共に述べよ。
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