物理学試験問題(振動・波動) - 生井澤

クラス: S1-4, 5, 15, 22, 25, 28; S23-1, 2, 8, 10
1998 年 2 月 18 日(水) 10:50〜12:20(90 分)
用紙: 問題 1、解答(両面) 1、計算 1; 持ち込み不可


問 1

次の各項を簡潔に説明せよ。
a. 調和近似 b. 固有振動 c. 分散関係 d. 音色 e. ポインティングのベクトル

問 2

水平な天井に、長さの同じ(長さ = l )糸でつるされた質量 M の質点 N 個が自然長 a、バネ定数 K のバネに結ばれて、自然長と同じ間隔 a でつながれている (図=省略。全長は、L = Na)。 重力定数を g とし、質点には、一端から順番に、 n = 0, 1, 2, ..., N -1 と番号を振るとして、以下に答えよ。
  1. 釣り合いの位置から、 質点の並んだ方向に微小振動させるとして、 n 番目の分子の変位 un (t )に対する運動方程式を求めよ。 ただし、バネの自然長は、糸の長さに比べて十分短い (a << l )とし、 バネと糸の質量は無視して良い。
  2. この結果から、固有方程式と、分散関係を求めよ。

    この系について、バネの自然長をどんどん短くしていったときの連続極限を考える。 ただし、糸の長さ l、系の全長 L、 「線密度 ρ = M /a 」、 「張力 T = Ka 」は、 それぞれ一定の値に保つものとせよ。

  3. この連続極限での運動方程式と分散関係を求めよ。
  4. 規格化された固有関数を求めよ。ヒント: 境界条件は、自由端(両端とも)として良い。
  5. これまでの結果をもとに、連続極限の振動の一般解を求めよ。

問 3

図(省略)の L は、直線偏光板で、長辺の方向 eL に偏光した電場のみを通す。一方 Q は透明な板で、長辺方向 ef と短辺方向 es に対する光速 cfcs とが異なっている(cf > cf)。 Q の厚さ d は、角振動数 ω0 (波数 k0)の光(単色光という)を Q に垂直に入射させたとき、透過光の es 方向と ef 方向の位相(光路)差 δ が π/2 となるようにとってある。
δ = ksd - kfd = ω0(d /cs - d /cf) = π/2,   (ω0 = c0k0 = csks = cfkf)……(1)
Q を 1/4 波長板と呼んだ。観察は、すべてこの単色光(偏光してない) で行うものとして、以下の問いに答えよ。ただし、c0 = 3 × 108 m/s は真空中の光速度である。
  1. 一枚の直線偏光板 L を光源側におき、一枚の 1/4 波長板 Q を手前において回転した。 次のそれぞれの場合の透過光の偏光状態をいえ。
    1. L と Q の長辺が平行のとき
    2. L と Q の長辺が互いに直交するとき
    3. L と Q の長辺が互いに 45゜ の角度をなすとき

  2. 直線偏光板 L を 2 枚重ねた。 互いの長辺が平行の時は光は良く通ったが、 一方を回転して直交させたら光は通らなかった。 なぜか理由を言え。
  3. 2 枚の直線偏光板 L を互いの長辺が平行になるように重ね、 その間に一枚の 1/4 偏光板 Q を挟んで回転させた。 Q の縁が、重ねた L の縁に対して 45゜ のとき、 透過光の強さが両者の縁が平行のときと比べて半分となった。理由を言え。
  4. 2 枚の直線偏光板 L を互いの長辺が直交するように重ね、 その間に一枚の 1/4 偏光板 Q を挟んで回転してみた。 Q の縁が、L の縁に平行のとき光は通らなかったが、 その位置から更に 45゜ 回転させたら良く通った。 理由を記せ。
  5. 2 枚の L を長辺を平行にして重ねた間に、同じ面を重ねた 2 枚の Q を挿入して回転する。L の縁が Q の縁に平行なときは、光は良く通ったが、 縁が互いに 45゜ になると光は通らなかった。理由を言え。
  6. 同じ面を重ねた 2 枚の Q を、今度は、直交する 2 枚の L の間に挿入して回転してみた。光の通り方はどうなるか?
  7. 設問 e と f において、一方の Q を 90゜ 回転して重ねたものを挿入して観察したら光の通り方は、 どうなるか? 理由と共に述べよ。
  8. 1/4 波長板 Q の ef 方向の屈折率は nf = 1.4、 es 方向の屈折率は ns = 1.6 である。 単色光の波長が 5600Å = 5.6×10-7 m (緑色)の場合、条件 (1) を満たす厚さ d を求めよ。

問 4

本講義について考えるところを、3 行以内で記せ(5 点。批判歓迎!)
Presented by KHK.