97 年度 反応・平衡 試験問題(担当:赤沼宏史)
- 適当な反応式を前提にして、
平衡定数とギブスの標準自由エネルギー変化の関係を求めなさい。
- 平衡定数の温度依存性を示す式を導出しなさい。
- pH 7.0 において 1 mol の ATP が ADP とリン酸に分解されると
0.5 mol のプロトンが生成する。
この反応の pH 7.0 における標準自由エネルギー変化
(ΔG' )
は 30 kJ/mol である。
- 化学では水素イオン濃度に関して、
通常、標準状態を活量 1 mol とする標準自由エネルギー変化
(ΔG゜)を用いている。
ATP の ADP とリン酸への分解反応において、
考慮すべき平衡定数・解離定数をそれぞれ定義した上で、
ΔG゜ と
ΔG' との関係を示せ。
- ミトコンドリアでは内膜を挟んでプロトン濃度差が形成され、
この濃度差を駆動力に、マトリックス・サイド
(pH の高い内側、pH を 7.0 と仮定する)で
ADP と リン酸から ATP を合成している。
本年度のノーベル化学賞で広く紹介されたように、
この反応を触媒する酵素が内膜に埋め込まれており、
この酵素の働きを、外膜と内膜の間の
pH の低い膜間空間のプロトンとマトリックス中の ATP、ADP
およびリン酸の間の反応を触媒していると
近似的に考えることができる。
仮にマトリックス中のリン酸濃度を 1 mM として、
ATP と ADP の比が 1:1 につり合うためには
膜を隔てた pH の差はどれほど必要か?
但し、 RT を 2.5 kJ/mol としてよい。
- 私達は身の回りの物質を水に溶けるものと溶けないものに大別します。
この分類の妥当性を論じなさい。この際、必ず次の用語を用いること:
分子間相互作用・水和・エンタルピー・エントロピー
- 水とアセトニトリル(CH3CN)を混合すると 10℃
以上の温度低下が見られる。このように自発的な吸熱過程における、
エンタルピーとエントロピーの変化量を論じなさい。
自筆のノート(各自が用意したもの)のみ参照できる。
電卓も使用できる。
解答用紙:両面(原則として 1 枚)
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