相対論 試験問題

1997 年 7 月 25 日 担当 風間
90 分  問題用紙一枚
解答用紙 両面一枚  計算用紙一枚

第 1 問

フレネルは速度 V で流れている屈折率 n の液体中を、 その流れに順行して伝播する光の速度 v
v = c/n + V(1 - 1/n2)
で与えられるという仮説を提出した。
  1. これを検証したフィゾーの実験の略図を描き説明せよ。
  2. フレネルの式に従えば、簡単な計算から V = c n/(n+1) のとき v は 光の速さ(編注: 真空中の速さ)c に一致する。 相対論によればこれは正しくない。相対論的に正しい v の値を cn を用いて表せ。

第 2 問

質量 m を持つ粒子が速度 v で直線運動している。 その運動エネルギーが粒子の静止エネルギーに等しいとき、
  1. 粒子の速度 β(=v/c)はいくらか。
  2. 粒子の静止系での寿命を T とするとき、 上記のように運動している粒子の寿命はいくらに見えるか。

第 3 問

  1. 4 元速度 uμ とは何か。 定義を述べその成分を具体的に書き表せ。
  2. いつものように、 S' 系を S 系に対して x 軸正方向に速度 V で運動している慣性系とする。 4 元速度に対するローレンツ変換を用いて、 S' 系での粒子の速度の y 成分(すなわち v'y = dy'/dt') を S 系の量で表す式を導け。

第 4 問

S' 系と S 系を前問のようにとり、xμ = (x0=ct, x1=x, x2=y) で記述される 3 次元ミンコフスキー空間に限って考える。
  1. ローレンツ変換を表す行列 Aμν の具体的な形を書け。
  2. Fμν を反対称な 2 階の反変テンソル (Fμν = -Fνμ) とする。このとき、 f0=F 12f1=F 20f2=F 01 と定義すると、実は fμ = (f0, f1, f2) は共変ベクトルとして変換することを示せ。

第 5 問

図(編注: 図は省略)のように、静止しているパイ中間子(質量 mπ)がミュー中間子(質量 mμ) 及び質量ゼロのニュートリノに崩壊した。
  1. エネルギー及び運動量の保存則を用いて、 ミュー中間子のエネルギー Eμ、 その運動量の大きさ pμ、及び速度 βμmπ, mμ を用いて表せ。
  2. 別の慣性系でこのプロセスを観測したところ、 崩壊したミュー中間子がちょうど止まって見えた。 この系での崩壊前のパイ中間子の速度 βπmπ, mμ を用いて表せ。

第 6 問(最高 5 点を加算する)

講義で最も興味深く感じた事柄をその理由と共に述べよ。
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