相対論 試験問題

1997 年 2 月 14 日 担当 風間
90 分  問題用紙一枚
解答用紙 両面一枚  計算用紙一枚

以下の問題では、必要ならば次の数値を適当に近似して用いよ。 計算機は使用してはならない。
光の速度 c = 3.00×108 m/s  陽子の質量 mp = 938 MeV/c2  電子の質量 me = 0.511 MeV/c2  1 MeV = 106 eV 1 GeV = 109 eV

第 1 問

マイケルソン-モーリーの実験の概念図を描き、 何をどのようにして測定しようとしたのか、 結果はどうであり何を示唆したのか、簡単に説明せよ。

第 2 問

宇宙線中には 1020 eV という超高エネルギーを持つ陽子が存在することが知られている。 そのような陽子の静止系から見る時、地球の公転軌道の直径 (3 億キロメートル)はどれほどの長さに見えるか。 有効数字 1 桁で求めよ。

第 3 問

  1. 相対論的「共変量」「反変量」の意味を例を挙げながら説明せよ。
  2. 2 次元ユークリッド空間を考える。 通常よく用いられる正規直交座標系では計量 gi j は単位行列で与えられるが、 ある別の座標系においては
    gi j = ( 11/√2 )
    1/√21
    であった。この座標系における成分が
    u = ( 1 ), v = ( √3 - 1 ),
    0√2
    である二つのベクトル uv の間の幾何学的角度 θ はいくらか。 但し 0 < θ < π とする。

第 4 問

図は実験室系(L 系と呼ぶ)及び陽子の静止系(P 系と呼ぶ) での陽子-電子散乱を示したものである。 添え字 p、e はそれぞれ陽子及び電子に関する量を表し、 P 系での量には 〜 を付けてある。
                                                    〜
	       L系    p'e                     P系     p'e
	           /                     〜         /〜
	     pe   /)θe                   pe       /) θe
	[e]------→・←---------[p]    [e]-------→[p]-  -  -  -
	     θp(/                                 \
	       /                                   \〜
	    p'p                                     p'p
L 系における衝突前の陽子及び電子の全エネルギーは Ee = 30 GeV、Ep = 800 GeV であった。以下の問に単位も明示して有効数字 1 桁で答えよ。
  1. L 系での衝突前の陽子、電子の速度(を c で割ったもの)を βp = 1-εpβe = 1-εe と書く時、εpεe を求めよ。
  2. L 系での衝突前の陽子、電子の運動量の大きさ |pp|、 |pe| はいくらか。
  3. L 系での電子の散乱角 θe が 0.1 ラジアンであったとする。 エネルギー及び運動量の保存則を用いて、 衝突後の運動量の大きさ |p'p|、 |p'e| 及び陽子の散乱角 θp を求めよ。 (適当に微小角近似を活用せよ。)
  4. P 系での電子の衝突前のエネルギーはいくらか。
  5. P 系での電子の散乱角 θe を求めよ。

第 5 問(最高 5 点を加算する)

講義で最も興味深く感じた事柄をその理由と共に述べよ。
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