====================================================== 2000.01.17 ======
               Windows 95/98 管理人のための MS-DOS 基礎講座
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                   第 2 回 カレントディレクトリって何?
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	こんにちは。でるもんた・いいじまです。

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☆読者のおたよりから☆

	●/ p や / w の "p" や "w" が何を意味するのか、元の英単語を
	 添えていただけないでしょうか。dir と覚えるより directory の
	 dir と覚えるほうが記憶に留まり易いなぁと思うのです。

		→ご指摘の通りでした。p は pause の、w は wide の略です。
		 w のほうはちょっとわかりにくいのですが、私が予想するに、
		 「/w のつかない dir では、Windows 環境で右側に出てくる
		 ファイル名を除いた部分は画面幅の半分程度しか使っていない
		 が、/w をつけた場合は幅を目一杯に使っている」ということ
		 ではないかと思います。

		 ちなみに、前回は書き忘れましたが、'/' と 'p' や 'w' の
		 間にはスペースはあけませんのでご注意ください。

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☆本日のお題☆

	今回は、予定を一部変更して、「カレントディレクトリ」という概念を
	中心に説明します。カレントディレクトリに関してはすでにご存じの
	方も多いかも知れませんが、初心者の方も多いようですので、ていねいに
	話を進めたいと思います。

	なお、当初の予定ではそれ以外にもいろいろなことを説明する予定で
	いたのですが、それは次回に繰り延べということにさせてください。

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☆予備知識☆

	このマガヂンでは、Windows の操作・管理についてある程度の予備知識が
	あることを前提に話を進めています。今回の記事では、次の概念はすでに
	知っているものとして話を進めさせていただきますのでご了承ください。

		○ファイル・ファイル名
		○ディレクトリ(フォルダともいう)、ルートディレクトリ

	また、前回までにご紹介した内容のうち、次の点は覚えているものとして
	扱っています。不安なかたは、ぜひ復習しておいてください。

		○MS-DOS 画面の出しかた
		○dir コマンドの基本的な使い方とワイルドカード
		○「プロンプト」とは?

	バックナンバーは Web 上に掲載しています。アドレスはこのメールの
	末尾をごらんください。

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☆カレントディレクトリって?☆

	前回、dir コマンドを実行したときに、引数(ひきすう)に何も指定せずに

		C:\Windows> dir【リターンキー】

	と入力したときは、C:\Windows ディレクトリのファイル一覧が出て
	きました。あるいは、プロンプトが C:\Windows 以外、たとえば A:\
	になっている場合は、A:\ ディレクトリのファイル一覧が出てきました。

	あるいは、引数を取る場合でも、

		C:\Windows> dir *.txt【リターンキー】

	のように、ファイル名だけでディレクトリを指定しないと、プロンプトに
	表示されているディレクトリの中から、条件に合う(この場合は、拡張
	子が .txt の)ファイルの一覧が出てきます。

	このように、プロンプトに表示されているディレクトリ名は、「ファイル
	を指定するときに、特にディレクトリを指定しないときにはこのディレク
	トリとみなします」という意味を持っています。このディレクトリの
	ことを、カレントディレクトリ(current directory)といいます。

	これは、一般的な Windows アプリで「ファイルを開く」のダイアログを
	出したとき、じつはここの「ファイル名」のところにディレクトリ名も
	含めて指定することができるのですが、ディレクトリ名を指定せずに、
	ふつうにファイル名だけを指定した場合に、ダイアログの上方の「ファ
	イルの場所」のところに表示されているディレクトリのファイルを読み
	書きしにいくのと同じことです。

	【補足】(1)前回も触れましたが、比較的ふるいバージョンの MS-DOS の
	       場合、特に設定しなければプロンプトは A> のような形に
	       なっています。この場合は、「prompt $p$g【リターンキー】」
	       と入力すると、「A:\>」のようにカレントディレクトリが
	       表示されます。

		(2)日本語ではカレントディレクトリというのが普通ですが、英語
	       では current working directory または working directory
	       と呼ぶことが多いようです。

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☆カレントディレクトリの変更法 (1) 絶対パスによる指定☆

	カレントディレクトリを変更するには、cd というコマンドを使います。
	cd は change directory の略です。

	cd コマンドは、後ろに、新しくカレントディレクトリにしたいディレク
	トリを指定して、たとえば次のように実行します。

		C:\Windows> cd \【リターンキー】
		C:\> cd "\program files"【リターンキー】
		C:\Program Files>

	まず最初の「cd \」で、カレントディレクトリがルートディレクトリに
	変わります。上では、プロンプトが「C:\Windows>」から「C:\」に
	変わったこともわかるように示してあります。

	つづいて、「cd "\program files"」で、カレントディレクトリは
	C:\Program Files に変わります。前回の dir コマンドのときにも
	触れましたが、ファイル名の中に半角スペースが含まれるときは、
	半角のダブルクォートでくくります。ちなみに、スペースがなくても
	ダブルクォートを使ってかまいませんが、普通はそういう使い方は
	しないようです。

	【余談】cd は chdir とすることもできますが、普通は短縮形の cd を
	    使います。

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☆カレントディレクトリの変更方法 (2) 相対パスによる指定☆

	さて、カレントディレクトリの配下のディレクトリに移動するときは、
	次のように、カレントディレクトリを基準に記述することができます。

		C:\Windows> cd system【リターンキー】
		C:\Windows\System>

	ここで cd の引数の「system」は、ルートディレクトリからのフルパス
	(full path、絶対パス absolute path)で「\windows\system」と
	指定することもできますが、前の「\windows\」の部分はカレントディ
	レクトリ名ですので、それを省略して、カレントディレクトリの下の
	system ディレクトリという意味で、単に「system」とだけ書くことが
	できます。

	逆に、いま \Windows\System にいるとして、その親ディレクトリ
	(parent directory)である \Windows、さらにその上のルートディ
	レクトリに移るには、次のように「..」を使います。

		C:\Windows\System> cd ..【リターンキー】
		C:\Windows> cd ..【リターンキー】
		C:\>

	実は、前回の dir コマンドの出力で、冒頭に「.」「..」という名前の
	ディレクトリがありましたが、実はこのうちの「..」は、親ディレクトリ
	を示していたのです。

	この「..」は、単独で使うだけではなく、ほかのものと組み合わせて
	使うことができます。たとえば、「..\..」とすれば、親ディレクトリの
	そのまた親を示しますし、「..\options」とすれば、親ディレクトリの
	中にある、options というディレクトリ(またはファイル)、いわば、
	カレントディレクトリの“兄弟”を表すことになります。

		C:\Windows> cd system【リターンキー】
		C:\Windows\System> cd ..\options\cabs【リターンキー】
		C:\Windows>Options\CABS> cd ..\..【リターンキー】
		C:\Windows>

	あるいは、HTML ファイルを書くひとにはおなじみの「<a href="../
	index.html>HOME</a>」の「..」も、同じように親ディレクトリのこと
	ですね。

	このように、カレントディレクトリを基準にしてディレクトリ(やファ
	イル)を指定することを、相対パス(relative path)による指定と
	いいます。

	【補足】(1)dir の出力の中にもうひとつあった、ピリオドがひとつだけの
	       「.」は、カレントディレクトリ自身を示しています。通常は
	       あまり使うことがありませんが、
			○カレントディレクトリの下のファイルであることを
			 特に明示したい場合
			○ディレクトリ名だけを指定すべき箇所に、「カレント
			 ディレクトリ」を指定したい場合
	       などによく使います。
	    (2)上の HTML の例では、ディレクトリ名の区切りは、通常の
	       MS-DOS での「\」ではなく、「/」になっています。これは、
	       WWW サーバーとして多く用いられている UNIX 系 OS では
	       ディレクトリの区切りとして / を用いることに由来します。
		   ちなみに、MS-DOS のコマンドの中にも、/ と \ のどちらで
		   もいいものがあります。

	【余談】MS-DOS のバージョンによっては、「...」や「....」といった
	    記法が使えます。それぞれ、親の親(..\..)、さらにその親
	    (..\..\..)という意味です。さらに、「.....」「......」
	    といった具合にピリオドの数を増やすことによって、“祖先”
	    をたどることができます。

	    手元の環境で確認した限りでは、Windows 95/98 ではこの記述は
	    OK ですが、Windows NT 4.0 Server ではダメなようです。

	    それより古いバージョン(MS-DOS 6.2 以下など)については
	    情報がないのですが、使えないらしい、という話を耳に挟んで
	    います。真相をご存じの方はお知らせいただけるとうれしいです。

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☆カレントドライブについて☆

◇カレントドライブとは?

	実は、MS-DOS の場合、カレントディレクトリは各ドライブごとにあり
	ます。たとえば、「A ドライブのカレントディレクトリ」「C ドライブの
	カレントディレクトリ」という具合です。プロンプトに表示されている
	のは、そのうち或る特定のドライブ(カレントドライブ current drive
	といいます)のカレントディレクトリなのです。

	たとえば、
		○A ドライブのカレントディレクトリが \drivers\win95
		○C ドライブのカレントディレクトリは \Windows
		○カレントドライブは C
	というとき、プロンプトには、カレントドライブのカレントディレクトリ
	「C:\Windows」が表示されています。

	さて、ドライブ名もディレクトリ名もすべて省略して、たとえば

		C:\Windows> dir *.txt【リターンキー】

	とすると、「カレントドライブのカレントディレクトリ」、すなわち
	C:\Windows を指定したものと見なされます。ここで、ドライブ名は
	省略してもディレクトリは省略せずに、

		C:\Windows> dir \【リターンキー】

	とすると、「カレントドライブの中の」、指定されたディレクトリ(\)
	という意味になります。

	一方、ドライブ名を指定しながらディレクトリ名を省略した場合、たと
	えば

		C:\Windows> dir a:*.txt【リターンキー】

	とした場合は、「指定のドライブの中のカレントディレクトリ」を指定
	したことになります。つまりここでは、指定された A ドライブのカレン
	トディレクトリ、つまり a:\drivers\win95 の中の *.txt という意味に
	なります。あるいは、ドライブ名を指定して、しかもディレクトリが
	相対パス指定の場合、たとえば

		C:\Windows> dir a:..\*.txt【リターンキー】

	とした場合は、「指定のドライブのカレントディレクトリ」が基準に
	なり、この場合は a:\drivers\*.txt という意味になります。

◇カレントドライブを変える

	さて、では cd コマンドで指定してみます。

		C:\Windows> cd a:\drivers【リターンキー】
		C:\Windows>

	これは、A ドライブのカレントディレクトリを \drivers に変更して
	います。(つまり、この状態で「dir a:【リターンキー】」とすれば、
	a:\drivers ディレクトリのファイル一覧が表示されます。)ただし、
	カレントドライブは C ドライブのままなので、画面に変化はありません。

	カレントドライブを変更するには、ドライブ名を直接入力します。
	たとえば、A ドライブに変更するには「A:」と入力します。

		C:\Windows> a:
		A:\drivers> cd "c:\program files"
		A:\drivers> c:
		C:\Program Files>

	上の例でもわかるように、元の C ドライブに戻すには、同様に「c:」と
	入力します。

	ちなみに、Windows NT では、カレントディレクトリと同時にカレント
	ドライブを変更するための、/d というオプションがあります(drive の
	d と覚えましょう)ので、NT ではこれを使うと便利でしょう。

		C:\WinNT> cd a:\drivers /d
		A:\drivers>

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☆おまけ☆

	cd コマンドは、なにも引数を指定しないと、カレントドライブとカレン
	トディレクトリを表示します。

		C:\Windows> cd
		C:\Windows
		C:\Windows>

	これは、プロンプトにはカレントディレクトリを表示しなかった(カレン
	トドライブを示す「C>」だけしかなかった)時代の名残なのかもしれま
	せん。

	では、cd a: だとどうなるでしょうか? だいたい予想はつくと思います
	ので、ぜひ試してみてください。

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☆UNIX をご存じの方へ☆

	UNIX で MS-DOS の cd に相当するのは、もちろん cd です。ただし、
	chdir という長い書き方は、使えないことが多いようです。

	なお、単に cd とすると、UNIX の場合は、ホームディレクトリに戻ると
	いう意味になる、というのが、MS-DOS と UNIX の違うところです。

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☆まとめ - 本日の重要キーワード☆

	○cd コマンド
	○相対パス・絶対パス、「..」と「.」
	○カレントドライブ

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☆次回予告☆

	次回以降の予定は、前回お知らせした内容から 1 回ずつ繰り下がる形に
	なります。つまり、次回(第 3 回)が、当初は第 2 回の予定だった
	「いろいろなコマンドをいじってみよう」になります。

	それではまた♪

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メエルマガヂン Windows 95/98 管理人のための MS-DOS 基礎講座

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Copyright © IIJIMA Hiromitsu aka Delmonta, 2016/03/10 15:09 JST
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