しばらく前から Biblo の FDD の様子がおかしい。 家に保存してあったフロッピーが、一枚も読めないようになっているのである。
一枚も、である。すべてのディスクが死んでいるとは考えられないので、 おかしいのはドライブのほうである。クリーニングしても直らない。 ということは、これはもうフロッピードライブの故障である。 そこで、分解修理に成功したので、その顛末を紹介する。
まず、原因は何だったのか。これはなんと、フロッピードライブの中に、 醤油の詰めてあったビニール袋 (納豆のパックの中に入っていたやつ)が入っていたことであった。
交換部品(ちなみに、このマシンで使われているのは、 Y. E. Data の YD-702J というやつで、 じつは 1994 年から使われているロングセラーである)を買おうと思って知人に相談したところ、よく見たら醤油の袋が入っていたことが判明したのである。
え?何でそんなものがパソコンに入るんだって?卓袱台の上や布団の中で使って、 使った後は畳の上に放り出しているからです、はい。
さて、そのときは醤油パックを取り除いて組み立て直したのだが、 今度はモーターが回らなくなってしまった。可能性として、
まず、マニュアルにもメモリ追加時の作業として書いてあるとおり、 下の写真の 2 箇所でプラスチックのカバーを外し、キーボードを持ち上げる。
メモリ増設ならこの状態でいいのだが、今回は完全に分解するので、 キーボードを取り外してしまう。「本体とキーボードとを接続しているケーブルは、 引っ張らないように注意してください。」と書いてあるが、 そのケーブルを外すのである。
この形のコネクタは、そのまま引っ張っただけでは外れないが、 手前の淡色部分を下の写真のように引っ張り出してやると、 固定が解けて外れるようになる。
続いて外すのが、FUJITSU のロゴの入った前面パネルと、液晶画面である。 まず、背面のネジ(左右の計 2 箇所)を外す。
その上で、そのパネルを押し上げてやる。 この方向から押し上げるというのは気がつきにくい。 このとき、液晶を水平近くまで倒してしまうと作業しやすい。
そうするとカバーが外れて、液晶を固定しているアームと、 裸のスピーカーが顔を出す。
この写真で右端に見えるのが、液晶画面を固定しているアームである。 先ほどのキーボードの場合と同じ要領で配線をすべて外してから、 ネジを緩めて液晶を取り外す。また、スピーカー・電源スイッチの基板も、 それと前後して取り外す。
その結果が下の図である。
つづいてカバーを取り外してマザーボードを露出させるのだが、 まずは下側半分を外してからでないと上半分は外れないようになっている。 下半分を外すためのネジは裏面で、右側(バッテリのパックの裏)に 4 本、 左側に 2 本、計 6 本である。上半分を外すには○で囲んだ 3 箇所のネジを外す。
さて、それを外すと、とうとうマザーボードが見えてきた。
フロッピーはこの下にあるので、次はマザーボードを外す。 まず、マザーボードとハードディスク・CD ドライブ、 また下のフロッピーなどとをつなぐ配線類(全部で 6 箇所)を外してから、 写真の 6 本のネジを外す。順序を逆にすると、 メモリスロット右下の太い線を外すときに力を入れられないので注意。
そうして、マザーボードを持ち上げる。背面の端子類が引っかかるが気にしないで強引にやってしまってよい。 左側の PC カードのイジェクトボタンが引っかかるので、 それはボタンを押し込みながらマザーボードを持ち上げよう。
さて、そうするととうとうフロッピードライブが見えてきた。
そこでネジ(3 箇所)を外してドライブを取り出し、さらに、側面のネジ(4 箇所) を外し、マザーボードとつなぐためのリボンケーブルもドライブ本体から外し、 据え付け用金具や、ドライブを覆っているカバーなど一式を取り外す。
そうするとドライブの中が見える。 写真中央下付近の黒と銅色の部分がヘッドである。
今回の場合、○で囲んだ部分が外れていたので、これを元に戻してやる。
さて、修理が終わったらこんどは組み立て直すのだが、フロッピーの場合、 据え付けが悪いと、 ディスクの出し入れが物理的にできなくなってしまうことがあるので、 マザーボードを固定するまでは、一つか二つのねじを締めるごとにフロッピーの出し入れができるかどうかを確認するようにしよう。
また、今回の問題は「フロッピーのモーターが回るかどうか」なので、 もし電源投入してもフロッピーが回らなかったら、また分解しなければならない。 そこで今回は、必要最小限しか組み立てない状態で電源を投入し、 フロッピーの動作を確認し、それが確認できてから残りの組み立て作業をするという方針でいく。
今回の場合、電源投入のために最低限必要な組み立て作業は
そこで、電源の AC アダプタを接続し、生フロッピーをドライブに入れて、 電源を投入する。
待つこと数十秒……動いたっ! ということで、いったん電源を落とし、すべて組み立て直してから電源を再投入する。
手元のディスクを持ってきてアクセスしてみると、いちおう読める。 が、生ディスクをフォーマットすると不良セクタが出るので、 クリーニングディスクを入れてドライブをクリーニングし、 その後、もういちどフォーマットする。 そうすると、みごとエラーなしで読めるようになり、めでたしめでたしである。
ちなみに、交換を考えてジャンクで買ってきた FMV-425N/T1 は、 フロッピー周りの外見が違うため「合わないかも」と心配はしていたのだが、 案の定サイズが合わなかった。時期的にも、YD-702J が出る 1994 年よりも前のマシンのはずだし。